第2部

第30話 汚い小さな

午後の間、白洛因は唾を飲む暇もないほど新しい戦闘機の修理をしていた。帰ろうと外へ出ると、来た時に昇っていた太陽は姿を隠し、真っ暗になっている。体の疲れを感じながらも、プロジェクトの進行状況を確認するために研究室へ向かった。寮に戻り白洛因が…

第28話 犬の餌

顧海は朝早く会社へ行き、12時に家へ戻ると白洛因はまだ眠っていた。朝に作った白洛因の為の朝食も家を出て行った時のままで、顧海はそれを捨てると弁当を作り始めた。 寝室へ行って白洛因を起こそうとしたが、あまりにもぐっすり眠っているその幼い顔を見つ…

第27話 甘い夜

顧海は白洛因を引き寄せて、薄い唇にキスをした。激しいキスは嵐のように白洛因を襲い、呼吸すら出来なかった。ただ、ひたすらに顧海から投げ込まれる深い愛情を必死に受け止めていた。顧海はこの時白洛因が何を考えているかは分からず、ただひたすらに愛を…

第26話 歪な2人

顧海はドアを蹴り開けて、白洛因を壁に押し付けると唇を重ねた。白洛因は冷たい壁に体を震わせたが、体は熱かった。顧海の手が白洛因のシャツの中を暴れ回り、肌の隅々まで愛おしいと語るようなその手つきを止めることが出来なかった。突然、変な音楽が聞こ…

第25話 一歩一歩

顧海はエレベーターから降りると、白洛因に向かって一歩一歩まっすぐ進んだ。会社の前に集まっていた女性社員たちも、顧海の姿を見つけると、一瞬で家に帰るのを思い出したように四方八方へと散った。白洛因は未だ車に寄っかかっており、その姿はかっこよく…

第24話 夫を追いかける小白

その後、社長と隊長は家の中で追いかけっこをしたが、結果は隊長の勝利だった。顧海にとって負けることは屈辱的だった。追いかけっこで体力が尽き、まるでソファと一体化したように動けなかった。奇襲をかけようと白洛因の股に手を伸ばしたが、もう力が出ず…

第23話 幸せ

顧海は眉をひそめ、資料ファイルを見ながらも意識は他に飛んでいた。俺と白洛因って結局どうなったんだ?理論的には一緒にいても、物理的には離れ離れのままだ。後から考えてみれば絡まっていた糸は解けたものの、どちらからも"付き合おう" "好きだ" とは言…

第22話 静かな日々

顧海は墓地を出発すると、真っ直ぐ家へ帰った。顧威霆はリビングのソファに座り、姜圆はキッチンで料理を作っている。顧海が入った途端、顧威霆の顔は変わった。彼の顔は日に焼けて、体は泥まみれで、まるで人ではないようだった。顧威霆は彼を眺めていると…

第21話 与えられ続ける危険

2人はその硬い地面で3日間過ごし、その間、捜索用の2機のヘリコプターが飛んだが、低空で飛ぶだけで見つけてはくれなかった。リュックの中の食料も尽き、白洛因はここから離れることを決めた。多少のリスクはあるが、ここで座ったまま野垂れ死ぬよりはマシだ…

第20話 顧家

空が瞬く間に暗くなり、白洛因は顔を向けて顧海を見た。「なぁ、ここにずっと座って助けを待つのか?それとも夜明けに帰るのか?」「帰る?」 顧海は冷たく鼻を鳴らした。 「こんな沼に囲まれてるのにどうやって帰るんだ?俺が来た時に、お前は俺を帰すこと…

第19話 温もり

白洛因は食べ終わると、反対側に向かって叫んだ。「こんな危険な所に、お前の嫁も連れてきたのか?」俺の嫁? 顧海は白洛因の言う嫁が誰なのか分からなかった。「お前の言ってる嫁って誰だ?」顧海が叫ぶと、また白洛因が叫んで返した。「結婚したんだろ?」…

第18話 自分の心

何かがおかしい…… 白洛因が周りを見渡すと、周囲は荒野で、苔がカーペットの様に地面を覆っていた。彼が居たのは高原で、少し先は泥沼だったので、戦闘機内での判断は間違っていなかった。それにしても沼地ではなく、硬い地面に着地できたのは幸運だ。白洛因…

第17話 激しい戦い

空域に侵入してきたのは、国籍不明の偵察機だった。白洛因の戦闘機が離陸した後、この偵察機を探したが、偵察機は機体が小さく、赤外線も弱い為、レーダーによる検出と追跡が難しい。白洛因は肉眼で捜索し、優れた加速性能を駆使し、迅速に目標へ接近した。…

第16話 突然に

翌日、結婚することを顧威霆に伝えた。顧威霆は顧海が報告もせず勝手に決めたとしても、幸せそうだった。そして相手の事についても何も聞かず、ただ頷いた。息子は背が高く顔もいいのに浮いた話も無かったので、いつ結婚するのかと心配していた。その女性が…

第15話 素晴らしい日

12月25日から、顧海の会社は正式に休みに入った。ゲージに入れられていた女性たちは、美しい鳥のように、星が月を抱く短い時間を楽しむ為、男の居る場所へと飛んで行った。狄双も遂に解放されたが、白洛因は未だ忙しかった。顧海は青島へ行き、病院にいる闫…

第14話 感傷的な夜

顧海の会社の目の前にカフェがあり、闫雅静と顧海はそのお店にいた。「お母さんの状態はどうだ?」闫雅静は痩せ細り、以前のような光は目の中に無かった。「ダメみたい。広がってて、治療で治る希望はもう無いってお医者様が。患者の苦しみを軽減させる為に…

第13話 エスカレートする争い

顧海は会社から出て、駐車場へ向かおうとしていると、白洛因の車を見つけた。あいつ……顧海は少し嬉しかったが、それを顔に出すことなく、笑顔を見せない社長のイメージを保とうとして、その顔のまま、白洛因を探しに歩いた。しかし、その光景を見て顧海の顔…

第12話 情熱的な背の高い美女

三日後、白洛因は忙しい時間を割いて、お見合いへと向かった。それは白隊長がどれほどこのお見合いを重視しているかが見て取れる。女の子は少し早くカフェに着き、窓側の席に座って時々外を眺めて緊張を和らげていた。軍用車両がゆっくりと視界に入り、女の…

第11話 結婚への道

姜圆は顧威霆と七年間共に軍事施設に住んでいる。そのうち白洛因がこの家に訪れたのは数えられるほどしか無い。時々姜圆は息子を恋しく思い、夫の権力を使って白洛因のいる基地に行き、訓練を受ける息子の姿を見ていたので、ここ何年間かは姜圆の方が白漢旗…

第10話 婚約者との家

白洛因は鼻を鳴らした。 「あんな美味い餃子食べたことねぇよ。」顧海の深く下げられた目元は、近くの手元を見つめている。表情は動揺する事無く、いつも眺めていた顔がより大人びている。変わってしまったのは口元だけで、八年前は自慢げに弧を描いていた口…

第9話 顧海の勝利

翌日、刘冲は昨夜あった人物が、資料の中で興味を持っていた人物だったと知った。「え?あの人が顧海なんですか?厳しい道を自ら選び、若くして社長になったあの?」白洛因は微笑んだ。 「あぁ、長官の息子だよ。」刘冲は驚いた。 「顧威霆の?本当ですか!…

第8話 寮へ

白洛因の暗い目は、顧海の心を抉るアイスナイフの様だった。「俺をここに呼んでおいて、最後に言うのはそれか?」顧海は微笑みながら白洛因を見た。 「俺のことは誰よりも理解してるだろ?」「お前、玉ねぎみたいだな。」顧海は目を細めた。 「どうして?」…

第7話 協力を求める

刘冲は厚い資料の束を持って研究室に入り、白洛因と数人のエンジニアが、1枚の図面を前に討論している姿を見た。声をかけるのも申し訳なく感じて、白洛因の傍に立って待っていた。目の前にはパンが1枚、冷たいお茶が1杯あり、茶葉は水に浮いていた。まるでそ…

第6話 奇妙な世界

「俺が畜生だって?だったらお前はなんだ?家畜か?」 顧洋の氷のように冷たい視線が顧海を刺した。 「俺は悪いことをしたが、そしたらお前はいいことをしたのか?俺はお前の兄を傷つけたが、お前は自分の父親を傷つけただろ!お前が入院してた時、誰が一日…

第5話 激突する2人

顧海は白洛因が軍服を着て自分の隣に経つ姿を見た。顧海の心の中に8年間隠されていたものが解放され、全ての神経と内蔵を貪られているようだった。白洛因は顧海のその視線で火傷し、顔の半分は麻痺していた。自分が軍服を何故着ているのか、冗談だと、嘘だと…

第4話 止められない運命

夜、白洛因が寝ようとしていた時に、上官からの電話がかかってきた。「小白!明日、軍事訓練参加メンバーで打ち上げを行う。お前も絶対来いよ!」白洛因は黙っていたが、しばらくして尋ねた。 「どこでやるんですか?」国際会議展示場5階の宴会場を予約した…

第3話 8年ぶりの再会

杨猛と白洛因が会話を弾ませていると、杨猛に向かって1 人の警察官が近づいてきて、資料の束を投げつけてきた。 「来週の報告書だ。できるだけ早く支局に送れ。」杨猛は怒りながらその資料を拾うと、ため息をついた。 「こんなの書かずに1日中因子と話してや…

第2話 可愛い警官

夜になると、軍事訓練に参加していたバイロットで野外キャンプが行われた。白洛因はテントで1人寝ている。外では轟く冷たい風が吹いているというのに、白洛因のカシミヤのセーターは汗で濡れていた。脱ぐと服に雑草や棘が刺さっており、振り払ったが取れず、…

第1話 破壊的な人生

8年は、一瞬だった。8年後、英語が全く話せなかった顧海は外国人のようになっていた。顧海が海外へ行った時、偶然出会った李烁はカナダへ移住していた。海外での生活について話していると、李烁はため息をついた。「中国にいた頃が懐かしいですよ。お正月に…