第179話 現行犯逮捕

エレベーターが開いても、顧海は動かなかったが、しばらくして静かに歩き出した。 白洛因は玄関の前にしゃがみこんで、周りにはタバコの吸殻が沢山あった。エレベーターが開く音がすると、瞼を上げて、また下げた。手にはまだ吸いかけのタバコがあり一口吸う…

第178話 四文字の意味

ドアは警告無しに開かれた。 顧洋はノックをしていたが、誰もそれに気づかなかったのだ。 廊下を通ると、奥から怒鳴り合う声が聞こえて、中に入ってみると、部屋は無法地帯のようだった。2人の男が絨毯を引き裂き、一人は顔を真っ赤にし、もう一人は喘いでい…

第177話 嵐

午前中、ある人はトイレに入り、周りをきょろきょろしながら、自分のモノが取られるんじゃないかと震えた。結局、正午になってもなんの報復も受けることはなかった。 本当に違ったのか? 尤其は片付けをしながら顧海をちらっと見た。尤其が立ち上がり、ドア…

第176話 二人の関係

早朝、顧海は着信音で目が覚めた。 習慣的にスマホを探したが、見つからない。座ってもう一度探して犯人を見つけてボタンを押しても、問題が表示されるだけで音は消えなかった。白洛因の目覚まし時計のシステムはとても難しく、それは白洛因が打ち込んだもの…

第175話 ずっと一緒にいたい

二人は浴槽で足を絡ませながら、まるで何年も会えていなかったように、お互いの表情を何も見逃さないようにじっと見つめていた。 久しぶりに、白洛因が口を開いた。 「お前、痩せたか?」 「そうか?」 顧海は白洛因の腹を撫でながら言った。 「お前に会えな…

第174話 再開

放課後後、白洛因は尤其と歩いていた。 顧海は出国してから、白洛因と尤其の親密さは上がり、杨猛に対しての共通の話題をよく話していた。今日の議題は「最も仲のいい友達が、彼氏を連れてきたら」だった。 今日、尤其は珍しく「顧海はいつ帰ってくるんだ?…

第173話 出発準備

「尤其、彼にご飯が出来たと伝えて」 白洛因は手を洗いながら尤其に尋ねた。 「お父さんは?」 「あぁ、父さんは今出張中なんだ。」 白洛因が手を拭くと、尤其は出て行った。 尤其のお母さんは明らかに三人分以上の量の料理をテーブルに並べていたが、そのど…

第172話 兄弟の絆

顧海が薬を自分で使ったのはこれが初めてだった為、過剰摂取させてしまい、顧洋が起きたのは翌日の朝十時だった。顧海は夜明けまで話を続け、顧洋は数千ドルの通話料を請求した。 顧海はこの通話でエネルギーを補給したので、一睡もせずシャワーを浴びた。新…

第171話 通話

その日、顧洋は疲れきった体を家に引きずり、重い服をハンガーに掛け、ネクタイを外し、お風呂に向かった。 部屋を通った時、部屋を見ると顧海はおらず、中に入ってみると、顧海の仕事は既に終わっていたため、恐らく寝室で寝ているのだろう。 顧洋はお風呂…

第170話 夜を駆ける

「因子?因子?」 尤其が白洛因を何度か呼んでも白洛因は反応しなかった。尤其はトイレに行く前に白洛因に声をかけてから行こうとしていたが、もう眠ってしまっていた。 白洛因を送っていくべきか? それとも白洛因の父さんを呼んで、近くまで迎えに来てもら…

第169話 拉致してはいけない

飛行機で十二時間苦しめられたあと、顧海はサンフランシスコに到着した。 空港には顧洋の運転手が待っており、彼は顧海の荷物を受け取ると、顧海を車に乗せた。運転中、顧海は彼に尋ねずには居られなかった。 「兄さんはどこだ?」 「彼はやらねばならない事…

第168話 戻ってくる

高三の一学期、大学入試のためにクラスの何人かが転校したり、留学をした。話の話題は大学入試のことばかりだった。 白洛因は数日前に全国高校物理学試験に参加し、明日は生物学試験に参加する。これらの試験でいい順位に入れれば、大学入試が有利になる。白…

第167話 大砲の投下

二人を追い払ったあと、白洛因はトップを走る選手と戦い始めた。 元々白洛因の方がレベルがたかかったが、二人を追い払うのに体力を使ってしまったため、追いかけるのに苦労した。トップランカーは白洛因か近づいていく度、意図的に妨害したり、リズムを崩し…

第166話 杨猛の足

白洛因の厳格な監督の下、顧海は自ら彼女のアカウントをブロックし、彼女の電話番号を消去し、プライベートで彼女の部屋に出入りせず、暇であっても彼女と連絡を取り合わないことを約束した。 翌朝、白洛因の5000mのレースが始まろうとしていた。白洛因の登…

第165話 家庭内暴力

開会式後、試合開始の合図の銃声が鳴り響いた。 最初の競技は100m競走で、顧海は三グループ目だった。開会式後に白洛因がクラスメートと喋っているのを顧海は見ていた。白洛因は顧海の写真を撮るためにカメラを構えていて、振り返るとスポーツウェアに身を包…

第164話 大会準備

「おい、なにしてるんだ?」 尤其はしゃがみこんで杨猛を見た。 杨猛は涙を適当に手で拭い、ぎゅっと身を守るように体育座りをした。尤其に背を向けて「今日は気分が悪いから、僕にちょっかいかけないで」と言った。 尤其は杨猛の背中を膝で押して、少し挑発…

第163話 仲の悪い相棒

「はっはっはっは……」 憂鬱で恐ろしい笑い声が、憂鬱な書斎の部屋の前で響いていた。笑っている本人は悪くて、厳しい表情をしているのに、どこが悲しげな狂気も抱えていた。 「5000mと400mハードルはお前みたいなのじゃ無理だ。」そう言うとまた息を飲むよう…

第162話 独身の日

「お前のことは信じてるよ、けどお前は自分の罪に対しての対価を払わないとな。」 顧海は持ち上げていた白洛因の腕を元に戻した。 白洛因は顧海がずっと怒りを終えていたのを知っていたし、一度それが表に出てしまえば暴力に頼る他なく、そして白洛因は苦し…

第161話 ごめんなさい

「顧海!ほら、早く帰ろう。」 顧海は白洛因を待たずに先に車に乗って行ってしまった。因子は急いで後を追ったものの、顧海の車はもう見えなくなっていた。赤信号で前の車が停り、進むことが出来ない。白洛因は車の窓に肘をついて前に並ぶ長い車の列を探した…