第199話 若いカップル

「えっ、なんであっちから来たんだ?」
白洛因は驚いた顔で顧海を見た。

顧海は唇が紫になるほど心配していたが、白洛因の手に持っているサンザシ飴の束と、口元に残る飴を見た。
ー怒られるとは思ってないのか?

顧海は怒鳴った。
「どこに行ってたんだ?」

白洛因の笑顔が消え、顔が引き締まる。
「サンザシ飴を買ってたんだ。」

そう言うと、残しておいたサンザシ飴を顧海に渡した。

顧海はそれを受け取らず、まだ暗い顔で尋ねた。
「なんで買いに行くって教えてくれなかったんだ?どれだけ心配したか分かってるのか?」

徐々に白洛因もイライラしてきた。
「言ったよ。聞こえなかっただけだろ!」

「お前の声が聞こえなかったって言いたいのか?なんで俺が出てくるまで待ってらんねぇんだよ!今すぐ食べないと死ぬのか?」

白洛因は伸ばしていた手で顧海の頬を平手打ちすると、手から零れ落ちたサンザシ飴が地面に叩かれて割れた。
「嫌なら食うな!!」

そう言うと頭を背けてしまった。

顧海は白洛因の服を掴むと、白洛因はその手を払った。しかし顧海は再び引っ張ろうとすると、白洛因も同じように手を払った。さっきまで笑っていた二人が、今は喧嘩をしている。白洛因が顧海の顔を殴ると、顧海は怒って白洛因の尻を蹴った。

ー取った!
この蹴りは確実に急所に当たり、白洛因は動けなくなり黒い鍋のような顔でタクシーを止めて行ってしまった。

顧海は通りに立って拳を握りしめる。
ー大したことか?
たかがサンザシ飴に引き裂かれた二人の親密さは、一晩で戻すことは出来ない。

顧海がため息をついて戻ろうとすると、飴を売っているお店を見つけ、ここにいた事が分かった。

一見人が多いが、買った時は混んでたよな?
なんで見つけられなかったんだ?

地面で砕かれたサンザシ飴を見て、心が痛くなる。すぐに店に行き、サンザシ飴を数束買い、借りた家に持ち帰った。



白洛因は帰ってくると寝室に行こうとしたが、買ったものを片付けるために部屋から出た。顧海が帰ってきた時、足元には荷物が置いてあって入ることが出来ない。

顧海は先に荷物を片付けて、それからサンザシ飴を持ちながらドアの前に立った。鼻を鳴らしても、白洛因は不機嫌そうな顔をするだけで、振り返ってはくれなかった。

顧海が部屋に入ると、白洛因の肩に手を置いたが振り払われてしまった。白洛因の目の前に伸ばしたサンザシ飴も、白洛因が床に投げ捨ててしまった。

「本当に怒ってるのか?」

白洛因は冷たく言い捨てた。
「なんで怒ってないと思えるんだ!」

「なんでだ?サンザシ飴のせいじゃないだろ?もしかして、足りないのか?足りないならまだあるぞ。」

白洛因は怒鳴った。
「サンザシ飴じゃない!」

「違うのか?俺がお前を殺したか?教えてくれ、今日はどうしたんだ?いつもなら忘れてるだろ。俺が見つからなくて心配したのか?」

「別にもういい!」

顧海は白洛因がそう言いながらも怒っていることが分かっていた。そして自分の頬を指さして、不平を言った。
「でも俺を殴っただろ?ほら、青くなってる。お前は誰だって殴るのか?なんで俺を殴ったんだ?」

白洛因の激しい視線は顧海を威圧した。
「お前だって俺を蹴っただろ?」

「どこ?全然覚えてないな!」

「本当に覚えてないんだな?」

「あぁ、だけどお前ももう怒ってないんだろ?」
顧海は白洛因の顔を見て、バカにするように言った。
「痛かったのか?見してくれよ。どこをどう蹴ったのか。」

「出てけ!」
白洛因は怒鳴った。

顧海は喜んでサンザシ飴を拾って食べた。
「そんな事言うなよ。本当に美味しいから、な?お前も食えよ。」
そう言うと、サンザシ飴を白洛因の口へ運んだ。

白洛因はそれを無視した。

顧海は一度引いて、別のものを取って食べた。
「うん、甘くてサクサクだな。」

白洛因は突然、神経衰弱の少年がいるんだと感じた。

顧海はいくつか食べ、最後の二つになると、それを白洛因の目の前で揺らした。
「本当に食べないのか?」

「食べないって言っただろ。」
白洛因は怒鳴った。

「絶対に一口は食わせてやる!」

そう言うとひとつ口に含んで、無理やり白洛因の頭を掴み、口に持っていった。白洛因は首を振ったが、口がベトベトして、嫌々口を開いた。

半分の赤い果実が誰かの舌を使って入ってきて、甘さが口全体に広がった。赤い果実を噛んでいる間、白洛因は故意に顧海の舌も噛んだ。顧海は痛みで引いて、白洛因の唇に残った飴をゆっくりと舐めた。



その後、二人はすぐに和解し、祝いの夕食を作るためにキッチンへ向かった。

顧海は野菜を切るのに疲れて一旦休憩し、きゅうりを洗っている白洛因を見ると、顧海の心臓は爆発したようだった。

「まだ洗えてないだろ。」
顧海が関係ないことを考えてるとは思いもよらない白洛因は、協力的に尋ねる。
「どうすれば洗えるんだ?」

「もう一本取ってくれ、見してやるよ。」

白洛因が顧海にきゅうりを渡すと、顧海はそれを口に入れた。まず舌でいやらしく舐め、きゅうりを口に入れると、吐息を漏らしながら白洛因を見た。

白洛因は顧海にうんざりし、その意味のわからない表現を見て、白洛因は口からきゅうりを取り、顧海のズボンを下ろして、落ち着きのない小さな穴をつついた。

顧海は焦ったが、幸いな事に手の力は顧海の方が強かった為、きゅうりを奪い逃げた。その後、白洛因が顧海から奪ったきゅうりをゴミ箱に捨てるのを見て、苦情を訴えた。
「なんで捨てたんだ?」

「口から出されたものを、誰が好んで食べるんだ?」

顧海はからかうように言った。
「汚れてるとでも思うのか?さっきだって俺の口から食べてただろ?」

白洛因が恥ずかしくなって何も言えず、残りのお皿を洗った。

顧海は後ろから白洛因の腰を抱きしめ、顎を肩に乗せると、柔らかい声で聞いた。
「いつになったら食べさしてくれるんだ?」

「考えるな、今日じゃない。」

「いじめるなよぉ…俺ばっかりお前に尽くしてるだろ?」

「誰も尽くしてくれなんて言ってない。」

顧海は白洛因の耳を噛んで、耳たぶを舌先で舐めると、白洛因の手が止まった。

「なぁ、大人のおもちゃ買ってあるから、晩飯後に遊ぼうな。」

白洛因の体は固くなり、顧海を見て歯を食いしばった。
「お前は!!……遊ばない、一人で遊んでろよ!!」

「おもしろいのに!」
顧海が煽り続けると、白洛因は結局、不思議なことに抵抗しなくなった。
「何を買ったんだ?先に見してくれよ。」

「あれぇ?……遊ばないって言ってなかったか?」
顧海はニヤニヤ笑った。

「先に見るからな!」

顧海はなおもニヤニヤと笑っている。
「遊びたいなら先に見つけてこいよ。それまでご飯なしな。」

顧海がそう言うと、白洛因の心が底なしになった。顧海に料理を任せ、白洛因は寝室に行って探した。クローゼット、本棚、引き出し、枕の下……物が隠せそうな場所を全て探しても、大人のおもちゃは出てこなかった。

「ベイビー、ご飯できたぞ。」
顧海が叫ぶと、白洛因は諦めた。

今日は新年で大きなトラブルが無くなった祝日なので、二人は一杯飲むことにした。食べる前に絶対に一杯だけと約束したが、話していると楽しくなってきて、知らぬ間に二杯目のワインを飲み干していた。顧海は意図的に白洛因にワインを注ぎ、自分は別のものを飲んでいた。

白洛因が飲みすぎた時、彼は顧海にとって間違いなく宝物だった。顧海は酔わせるために、必死にワインを注ぐ機会を探していた。

二人はソファに座り、テーブルに置いてある鏡で、白洛因が自分の真っ赤な顔を見て、やられたと気づいた。白洛因は顧海の肩に頭を埋めて擦り続けると、もっと赤くなっていた。

「悪いやつだ。」
白洛因は呟いた。

顧海だって酔っていたが、まだ体は起きているので、白洛因を掴んで言った。
「そこにいてもいいけど、これを擦んないと。」
そう言うと自分のモノを指さした。

白洛因の頭が突然落ち、鉄球が顧海のモノを打ったので、悲鳴を上げた。

白洛因は顔を上げると、顧海を見て笑った。

「おいしいから一口食ってみろ。」
顧海は自分のモノを取り出して、白洛因の口に入れた。

白洛因は鼻を鳴らして、頭を捻り、頭の後ろを小海に当てた。

すると、顧海が何かを思い出したかのように、当然白洛因を引き上げた。
「そうだ、買ったおもちゃ使ってないだろ!」

白洛因はこれを聞くと、すぐに腰を正した。

「そうだ、そうだよ、持ってきて。」