第200話 顧海の悪趣味

1分後、顧海が戻って来るのを、白洛因は酔っ払いの目付きで見守っていたが、手に持っているものを見た瞬間に驚いた。彼は顧海が明らかな見た目をしたおもちゃか媚薬とかを持ってくるだろうと思っていたが、その手にはぶら下がってあるのは2つの衣装だ。スケスケな訳でもなくて、変なデザインな訳でもない、至って普通の服。

顧海は白洛因の目の前で服を振って、まるで宝物を持っているかのような表情をしていた。

よく見てみると、60年代のミリタリーコートで、袖口はボロボロ。もうひとつも同じ年代の赤い綿の服で、明るく咲く牡丹の花が2つのプリントされていて、田舎者のような服だった。

白洛因は酔っていたが、頭が弱くなった訳では無い。
ー俺をバカにしてんのか!
それから彼は顧海の両耳を掴んで引っ張り、絶望的な顔をした。

「ミリタリーコートと花柄の服が大人のおもちゃなのか?!!!」

見つけられなかったのも無理はない。
今、目の前で揺れているものを見ても、ここの家主のおばあさんのものだと思ってのだから。

顧海は耳たぶを掴む手を離して、説明した。
「これは演出だよ。」

「演出?」
白洛因は顧海をちらっと見た。
「なんの?」

「俺は……」
顧海は自分を指さした。
「老いた村長役!」

「お前は!」
顧海が続きを言わずにしていると、白洛因は真剣な顔で待っていた。

「惨めな嫁役!」

白洛因が再び顧海に向かって手を伸ばすと、顧海は急いで自分の耳を守った。

「なんで俺が惨めな嫁なんだ?お前がやれば?」

「怒るなって、嘘だよ!」
顧海は白洛因の指を掴んで、神妙な顔をした。
「俺は肩幅がでかいから、この服は入らないんだ。」

「馬鹿にしてるのか?」
白洛因は眉を吊り上げた。
「俺らは服のサイズ一緒だろ!」

「信じないなら着てやるよ!」

そう言うと、顧海は服を拾って、まず片方の腕を袖に入れてから、もうひとつの袖に腕を入れようとした。しかし捻っているだけで、完全に着れてはいない。

「ほら、入らないだろ? 」
顧海は白洛因をなんてことない振りをして見た。

白洛因は目を見開いて驚いていたが、この花柄の服を着ている顧海が面白すぎて、腹を抱えて笑うと、振り向いて頷いた。
「本当に着れないんだな!」

「ほら、嘘なんてついてないだろ?」

顧海は着ていた服を脱いで、白洛因に渡した。白洛因が着てみると丈が短かったが、特に影響は無かった。顧海が足首が絞られたズボンを白洛因に渡すと、それは緑色だったが、何も言わずに履いた。

「なんで花柄の服と緑のズボンなんだ?」

顧海に渡された服を白洛因はちらちらと見ながら言った。
「農民の女性の素朴さと優しさを表さなきゃだろ。」

「やんない!」
白洛因が叫ぶと、顧海は怒って白洛因を見た。
「もう着たんだから変わんないぞ。」

しばらく言い合いをすると、最後には白洛因も同意したので、顧海が部屋を出て行った。



ドアを強く叩く音が鳴る。

妻がドアを開けると、村長が外に立っている。

事前に決められた台詞を、妻が話した。
「村長、こんな遅くに、どうしたんですか?」

顧海は白洛因の馬鹿にした顔を見て、すぐに妻が自分からドアを開けたことが、勿体ないと感じた。

「違う!」

「恥ずかしさと喜びを混ぜるんだ!なぜ恥ずかしいかって?お前は俺を騙してるからだ。なぜ嬉しいか?お前の夫はお前を満足させられないから、俺が来ることを何日も楽しみにしてたんだ。」

白洛因が理解すると、顧海が手を振った。

「もう一回だ。」

そう言ってまた外に出て、しばらくして、またドアを叩いた。

白洛因はドアを開ける時にさっき言われたことを思い出して、笑顔を作った。
「村長、こんな遅くにどうしたんですか?」

さっきのような馬鹿にした顔ではなく、素朴な笑顔を見て、村長は妻の頬に自分の頬を擦り寄せたくなったが、村長のイメージを維持するために、邪悪な考えを捨てた。

部屋へ一歩ずつ入り、ドアが閉まると、軽薄そうな笑顔を見せた。

「旦那はいないのか?」
大きな手が妻の顎を掴んだ。

妻は唇を噛んで話さなかった。実際に彼は台詞を忘れていただけだったが、その表情は拒否を示していて、村長を魅了した。

村長は妻に寄って、吐息を漏らし、首にキスをして、もう我慢ならないと言うような顔をした。

「村長、なにしてるんですか?」
妻が予定通りに体を押した。

村長は悪い顔をして微笑んだ。
「なにが言いたいんだ?」

妻の服に手を差し入れた。

「なぁ……下着着てないのか?俺が来ることを知ってたんだろ?」

白洛因は正直に言った。
「始まる前にお前が脱がしたんだろ。」

顧海は動きを止めて、暗い顔で白洛因の尻を叩いて言った。
「ちゃんと演技しなきゃダメだろ?お前は今誰を演じてるんだ?お前は今惨めな妻で、俺は村長だろ!」

白洛因は顧海の胸を殴った。
「もうやだ!やめる!」

「わかったわかった、脱がした、俺が脱がしたよ。村長が妻を犯したくて脱がしてでいいな?それでいいよな?」

白洛因はすぐに演技に戻った。
「村長、夫がすぐに帰ってきてしまうので、早くしてください!」

「いつ帰ってくるんだ?ちょうどいい。本当の夫が誰なのか見せつけてやるよ!」
そう言うと、妻のズボンを脱がした。

妻は脱がそうとするその手を掴んで、物乞いするような表情で村長を見た。
「村長、やめて、もう夫は疑い始めてるんです。怖い……」

「怖い?他人に妻を愛させてるくせにか?」
ーどんな話だよ!!

妻は脱がそうとする手を何度も止めようとしたが、村長はどんどんと脱がせていった。
「ビッチちゃん、何百回をしているのに、見せるのが恥ずかしいのか?足を広げて善がれよ。そうじゃなきゃレイプしてるみたいだろ!」

「村長、家族が帰ってきました!」
妻が突然叫んだ。

村長は獣のように微笑んだ。
「見せつけてやれよ!」

「違う、本当に誰か来てる!ドアをノックする音が聞こえた!」

顧海は白洛因が自分で台詞を作ったんだと思い、妻がパニックになったとしても、そのまま村長として押し通すべきだと思った。だから村長は妻の服を脱がせ、大きな手で妻の胸を揉んだ。

「本当にノックしてる!」

妻が抵抗するので村長が抑える。……悪い雰囲気になり、村長が妻の足に手を伸ばそうとしたが、遂に顧海は悪趣味から目を覚ました。

"ドンドンドンドン"

顧海と白洛因が目を合わせた。
ー誰だ?本当に夫が帰ってきたのか?

顧海はドアを開けるために立ち上がったが、白洛因は酔っ払っていたので、脱がされた服を着直し、外されていたボタンもつけ直して、玄関先に立ち、お迎えをした。

ドアを開けた瞬間、顧洋は夢を見ているのかと思った。

レインブーツにミリタリーコート、緑のパンツと赤い花柄の服。
ーこれは……なんだ?

白洛因は深く役に入り込んでいたので、戻ってこれず、顧洋を見てびっくりした。
「役に立たない夫、帰ってきたのね……」

顧洋の冷たい顔には漫画のように無数の黒い線がかかり、それはほとんどネットのようになっている。

顧海は顧洋の顔を見て、目を覚ました。

なんでこんな時に来たんだ?
ちょうどこれからってときだったのに!

心の中でそう吐き捨てていると、突然、妻が腕を組んで、村長は追悼の意を表するためにここに来て、そして自分たちは付き合っていると説明した。

顧海は焦って、白洛因を引き戻すために怒鳴った。
「よく見ろ、こいつは誰だ?」

白洛因は驚いて顧海を見て、その後もう一度顧洋を見て、その後もう一度顧海を見た。
「あれ、同じ人が2人だ。この人が役に立たない夫で、お前も役に立たない夫だ!」

完全に、この酔っ払いはおかしくなっている。

顧洋はこの部屋からワインの香りがするのに気づき、なぜ2人がおかしなことを言っているのか気づいた。明日北京に帰るために、ここに寄ったが、彼らのこの素晴らしい姿を見て、もう何も言うことは無いと思った。顧海を見ずに、白洛因の花柄の服の袖に触れてから、顧洋は去っていった。


顧洋が去っても、白洛因はしばらくドアを見つめていたので、顧海は嫉妬していた。妻を抱き締めて、無理やりキスをする。
「見るな、あいつはお前の男じゃない。」

しかし、白洛因は未だに理解していない。
「じゃあ今出て行ったのは村長?」

その一言で顧海は突然気が変わった。
「そうだ、村長だよ。それで俺が役に立たないお前の夫だ。」

そう言うと、白洛因が動き出したので、顧海は彼の手を掴んだ。
「どうした?浮気にはまったのか?目の前にお前の男がいるのに、他の男を追うなよ。今夜は沢山愛してやるから。」

瞬間、顧海の役は村長から役に立たない夫に変わった。

「よく聞け。今俺は役に立たない夫で、お前はその妻。俺は勃たないから見てるだけだ。だからお前は妻の役割として、俺に毎日見せるんだ。」

顧海はこれを言った後に、彼がどうするのか考えていたが、白洛因は積極的に服を脱いでベッドへ横になり、タバコに火をつけた。

白洛因の胸より上は赤く火照り、煙を吐き出すと真っ赤な瞳で顧海をちらっと見て、その男らしさで魅了した。

白洛因は真っ直ぐで長くセクシーな足に唯一ズボンを履いているだけで、その足を開いて見せると、柔らかな足の間にわずかな膨らみがある。まだ小さな怪獣は眠っていて、目を覚まさせなければならない。

白洛因はゆっくりと指でタバコを掴み、その手は足の間で止まり、ゆっくりと揉んだ。彼の呼吸のように重く遅く、口から吐き出す煙が部屋に充満した。瞳は傲慢で怠惰だが、しかし見ることしかできない。タバコを加えた口は、見るものを軽蔑し、いじめるかのように笑っている。

顧海の瞳孔は開き、鼻からは血の香りがして、白洛因の姿は彼を夢中にさせていた。
将来何があっても、ワインを2本買って家に置いとかなければ。それさえあればセックスがより良いものになる!

白洛因の足の間にある小さな怪獣がゆっくりと目を覚まし、ズボンに浮かぶ膨らみは大きくなっていた。白洛因はズボンに手を入れて、首を晒し喘ぎ声を漏らしながら、手の動きを早めた。

彼の口に残る煙は半分だけで、顧海は耐えて、未だ指に挟まっていたタバコを奪い、吸って吐き出すと、すぐに飲み込まれた。

白洛因はズボンを下に引っ張ったので、握っているのも濃い毛も見えたが、何を握っているのかがわからない。顧海はその場所をズボンが焼けてしまうのでは無いかと疑うほど、熱い視線で見つめて、手の中に隠された秘密の場所が晒されるのを待った。

タバコをギリギリまで吸うと、白洛因は灰皿へ押し付けて、顧海をちらっと見た。

顧海はもう我慢することが出来ず、虎のように白洛因に襲いかかり、突然彼のズボンを引き裂いた。

「役に立たないんじゃないのか?」
白洛因が意図的に問うと、顧海は大声で言った。
「もう治った!」

狂ったように腰を振ると、2人は絶頂に達したが、どちらもそれが柔らかくはならなかった。アルコールによる誘発と白洛因による誘発で、2人はすぐに2回目を始めた。白洛因が顧海の上に座り、好きなように腰を振り、顧海はただベッドに横たわっていた。ゆっくりとタバコを手に取ると、吸いながら白洛因の動きを楽しんだ。

白洛因は屈んで、顧海が持っていたタバコを吸うと、顧海の顔に煙を吐き出した。顧海を一口吸って、白洛因がキスをすると、口の中に煙を流し、お互いの息が白く漂った。

2人は体も心も全てが酔っていた。

顧海は白洛因の腰を持ち上げて、突然上下に動かすと、白洛因は予測していなかった快楽に驚き、顧海の唇から離れて、彼の顎を噛みながら鼻を鳴らした。
「……やめろ……ゆっくり!」

顧海は笑いながら白洛因の腰から手を離した。
「じゃあ自分のいいように動けよ。」

白洛因は体を起こし、顧海の胸に手を当てて、ゆっくりと腰を動かすと、足の間のモノが大きくなった。顧海が手を伸ばし遊ぶと、白洛因は反射的にスピードを上げた。快楽で歪んだ顔が、顧海の目にはより一層魅力的に映った。

顧海は白洛因の顔に手を差し伸べると、白洛因は身を屈ませて顧海にキスした。2人は腰を揺らしながら、お互いの口の中で喘ぎ声と唸り声が漏れた。

「これがいいのか?いいか?だめか?」

「いいっ……いいから……顧海……」

顧海は白洛因を押し倒して、枕に彼の頭を置き、唸り声を上げた。白洛因の中は濡れていて気持ちよく、顧海は白洛因の腹の中に全てを吐き出した。

「因子、愛してる。」
顧海はワインに感謝した。

白洛因の熱い頬が、顧海の頬に擦り寄せられ、小さな声で言った。
「うん。」

「うん?」
顧海は顔を向けて、白洛因をちらりと見た。
「それだけで、他になにか言うことは無いのか?」

白洛因は目を閉じて鼻歌を歌い出したので、顧海がもう一度押し倒すと、白洛因の頭は枕の下に隠れた。

「おい!寝るなよ!」

顧海が揺らしても、白洛因は全く反応しない。あまりにぐっすり眠っているので起こせず、顧海はため息をついた。

なにを言われたのか絶対に忘れるなよ。お前が起きたら絶対に言わせてやる!