第26話 歪な2人

顧海はドアを蹴り開けて、白洛因を壁に押し付けると唇を重ねた。白洛因は冷たい壁に体を震わせたが、体は熱かった。顧海の手が白洛因のシャツの中を暴れ回り、肌の隅々まで愛おしいと語るようなその手つきを止めることが出来なかった。

突然、変な音楽が聞こえて白洛因が体を強ばらせると、顧海がスイッチを押してその音を止めた。白洛因はどこから音が鳴っていたのかが気になって探ると、驚くことに顧海のバッグの中にあの日渡したロバのおもちゃがあった。

「なんでまた持って帰ってきてるんだ?会社に置いとくの恥ずかしいって言ってたよな?」

白洛因は故意に尋ねると、顧海は生意気に笑った。
「今になってはこいつ無しで生きらんねぇよ。」

白洛因は微笑んだ。
「そんなに気に入ったのか?」

顧海はロバの頭を撫でると、嬉しそうに話した。
「使いやすいんだよ。」

「使いやすい?」

白洛因が困惑していると、顧海は自慢げにソファに座り、ロバの頭を足の間に置いてスイッチを押すと、前後左右に揺れた。

白洛因は顧海の愚かさを前にして怒鳴った。
「こんな事に使ってたのか!?」

「大人のおもちゃとしてくれたんだろ?」

「っお前!!!」

白洛因が殴りかかろうとするのを見て、顧海は急いで立ち上がった。
「待て待て待て!!怒んなって!からかっただけだろ!………本当は息子みたいに扱って毎晩抱きしめて寝てるんだ。」

白洛因は顧海の手からロバを奪って見下ろすと、ロバの頭の毛をむしり取った。

「あぁああ!!!」

白洛因は顧海を押し倒して殴り続けたが、顧海は反撃せずに殴られていた。顧海は白洛因が手加減しているのを知っていた。
白洛因の怒りがおさまるのを見計らって抱きしめると、立ち上がって手を引いた。

「風呂に入ろう。」

白洛因の暗かった瞳に輝きが少し戻り、頷いた。



風呂にはシャワーが2つあり、1人ずつ入ることも出来たが、顧海は服を脱ぎながら声をかけた。
「前からずっと思ってたんだが、本当に軍服似合うよな……着たまま犯せたらどんだけ興奮するか……」

顧海の言葉は火遊び同様だったので、白洛因はすぐに鼻を鳴らした。
「軍服着る羽目になったのはお前のせいだけどな!」

顧海は白洛因の努力をよく知っていたため、笑わなかった。殆ど毎日会っていた8年前から、努力を重ね少佐にまで登った白洛因のことを顧海は誰よりも尊敬していた。

白洛因の手がシャツに止まると、無意識に顧海を見た。顧海は既に服を脱ぎさっており、狼のような目で白洛因を見つめている。白洛因は早く脱げと思われていると思い、シャツを脱いだが、それでも隣の男は見つめ続けていた。

白洛因が全て脱ぎ終わった時、顧海の胸は爆発するようだった。彼の期待よりも、白洛因の何も纏っていない姿は美しかったのだ。

白洛因の体は完璧だった。

筋肉のラインは滑らかで、無駄な肉は一切なく、前に見た時よりも膨らみがあった。特に尻は丸く今すぐにでもかじりつきたかった。

顧海は目を光らせながら視線を下へずらすと、心の中は舞い踊るようだった。彼はまず水温を下げると、体に浴びて興奮を抑えようとした。


白洛因が仕方なく横を見ると、長く見ていなかった巨大なモノに目を向けて絶句した。

8年間で、まだ成長したのか?

顧海の骨格は白洛因よりも大きく、彼がどれほど訓練を積んだところで顧海には追いつかないのが分かり、心の中で嫉妬した。



風呂から上がり、顧海は白洛因に寝室のソファに座ってテレビを見るように言うと、後ろに立って髪を乾かした。暖かい風と顧海の優しい手が白洛因を頬を撫でている間、白洛因はテレビを見ていたが内容は入っていなかった。

「ちゃんといつも髪乾かしてるか?」

「やってない。」
白洛因は嘘をつかなかった。
「拭いて寝れば次の日には乾いてるだろ。」

「やんないだろうとは思ってたけど、乾かして寝ないと頭痒くならないか?」

「別に。風が強い時は外に出て乾かすんだ。時々冬に帽子を忘れて外に出ると髪がアイスみたいに凍ってるんだ!凄いだろ、ははっ……」

「笑うな!」
顧海は白洛因の顔を掴んで無理やり振り向かせた。
「前までは良かったけどもう恋人なんだから見逃さねぇぞ。次からは髪乾かしてから寝ろ。ここにいる時はやってやるから、離れてる時は絶対自分で乾かせよ。」

白洛因は焦って言った。
「ドライヤー無い!」

「買ってやるから。」
顧海は声を強めた。
「それとお前ん家にあるジャンクフードも全部捨てろ!時間がある時は作って持ってってやるから、絶対に体に悪いもん食うなよ。」

白洛因は気づかれないようにため息をついた。
「何年も経つとお前は姑みたくなるのか?」

「お前のために言ってるんだ!」

白洛因が悔しそうに唸ると、顧海は白洛因の首の後ろを掴んだ。
「冗談で言ってるんじゃないんだ。ここにいる間は最低でも俺に従えよ。抜き打ち検査して危険物が見つかったら、お前のパンツを脱がして尻を叩くからな!」

まるで8年前のように白洛因は顧海の説教を左から右に受け流して聞いていなかった。

髪を乾かし終わると、顧海はぶどうの皮をむいて白洛因の口に寄せた。白洛因は嫌がったが、結局は口を開けて食べた。噛むと気絶するほど酸っぱくて、特に歯を磨いた後だったのでもっと酸っぱく感じ、白洛因は眉を歪ませた。

顧海は白洛因の表情を見て笑った。白洛因は顧海が故意にやっていたことに気づき、すぐに薄い唇で顧海の口を塞ぐと、口の中の酸っぱいぶどうを口の中に放り込んだ。

酸味が段々と薄れ、甘くなっていくと、2人は目的も忘れて激しく舌を絡ませながらベッドへ移動した。

白洛因はベッドに寄りかかり、顧海は彼の足を曲げると、舌が首を這った。長い間放置されていた体に突然未知の快楽が襲いかかり、白洛因の体の震えは顧海の舌が撫でる度に大きくなった。

「ぁっ……」

顧海は舌で白洛因の耳を撫でながら、胸の小さな突起を指先でつまんだ。白洛因は声を抑えきれず、ほんの少し見せた瞳は欲情に染まっていた。

顧海が横たわると、白洛因の脚を開かせて、彼の左胸に顔を埋めると軽く齧ってから優しく舐めた。白洛因は体を強ばらせながら2人のソレを擦り合わせると、乱れた呼吸が部屋を満たした。

顧海は今にも襲いかかりたかったがそれを耐えた。8年間思い続けていた体だからこそ、宝物のように丁寧に扱いたかった。8年間失われていた白洛因の体を、どこも残さず味わいたかった。

顧海が瞼を上げると、恐怖を瞳に混じらせながら彼を見つめる白洛因を見て、緊張をほぐそうとした。

「どうした?」

実際、顧海は分かっていた。今まで誰にも触れられていなかった体を、何年も調教し続けどこが気持ちいいのか知っている男に触られれば怖いに決まっている。
体の強ばりを解すために敏感な場所へ触れれば、すぐに体の力が抜けた。

顧海は微笑んで緊張している白洛因の顔を見てから、舌を下腹部へとずらした。舌の先は筋肉の溝をなぞりながら、腰へと辿り着く。

白洛因の腰が強く震え、2本の長い脚が顧海の肩を蹴ったが、彼の舌で刺激されてしまえば抵抗する力も失ってしまった。

顧海は顔を上げて白洛因を見ると、彼をからかうように笑った。

白洛因は顧海の下唇を噛み、顧海を押し倒しすと億劫に顧海の体に触れた。白洛因の技術は成長しておらず、唯一成長していたのは手の強さだけで触れる力が強すぎて痛かった。白洛因でなければそばにあるフルーツナイフを手に取って切りかかるところだった。

白洛因の手が小海を握った時、白洛因が変わったことに気づいた。8年前よりも、まるでそういった専門職に就いているかのように上手くなっていた。手の中のソレをちょうどいい強さで擦り、顧海が抵抗出来ないほどに感じさせている。

「気持ちいか?」

白洛因は口角を上げて微笑んだ。

顧海は白洛因の髪を手で梳きながら、吐息を漏らしながら話し出した。

「ここ数年誰かに襲われたりしたか?」

「……うん。」
白洛因は素直に認めた。
「他の人のも手伝ってた。」

顧海は白洛因の手を掴むと無理やり押し倒して、手を上げたが、白洛因は抵抗しなかった。顧海は撫でたあと、パンっ!と音が鳴り、白洛因の尻が麻痺した。

「この馬鹿!いたっ……」

顧海は態度を変えて尻を揉んだ。
「警備員に殴られても泣かなかったのに、撫でられてるだけで痛いって泣くのかぁ?」

「それとこれとは別だろ!?」

顧海はしばらく白洛因を見つめてから、耐えきれずに尋ねた。
「因子、本当のことを言ってくれよ。この8年間誰かと寝たか?」

「うん。」

顧海の目に緊張が走った。

「……誰だ?」

「お前と。」