第27話 甘い夜

顧海は白洛因を引き寄せて、薄い唇にキスをした。激しいキスは嵐のように白洛因を襲い、呼吸すら出来なかった。ただ、ひたすらに顧海から投げ込まれる深い愛情を必死に受け止めていた。

顧海はこの時白洛因が何を考えているかは分からず、ただひたすらに愛を伝えたかった。やっと手に入れられたのだ。もう一人では無いと、俺がいると理解させたかった。

8年ぶりにお互いの心が重なった。

唇が離れると、白洛因は顧海の体に重なってその体をかじった。顧海の手は白洛因の腰を撫で、手で感触を確かめると、今すぐ甘いのか試しにかじりつきたかった。

白洛因が顧海の左胸の突起を舌の先で遊ぶと、顧海の呼吸が荒れ、白洛因の尻を掴む手が強くなった。白洛因は痛みを感じて顧海の敏感なところを噛んだ。

顧海は笑うと、白洛因のパンツの中に手を忍ばせて、腹に擦り付けられていたソレを握りこんだ。根元から先まで、ゆっくりと擦り上げると、白洛因は我慢できなくなって腰を上げてスピードを上げるようにせがんだが、顧海は簡単に満足させようとはせず、親指で先端を押さえると、掻きむしる。白洛因は体を強ばらせて足に力を入れ、顔には焦りが浮かんだ。

顧海はローションを手に取ると、見せつけるように指にかけて、白洛因のソコに指を差し入れた。白洛因の体が震え、逃げようとする背中を押さえつけた。
「っやめろ。お前が下に、なれよ。」

顧海は絶対に白洛因がそう言うと思って対策を考えていた。先延ばしにするのは失敗すると分かっていたので、指を動かすスピードを早める。顧海の手が気持ちよすぎて白洛因は抵抗ができないのを見ると、顧海は勝利を確信し、背中を焦らすように撫でた。
「次な。次は下になってやるから。今日は昔通りヤろう……」

拡張は白洛因が抵抗するよりも先に終わった。顧海は横たわっている白洛因の腰を上げて、ゆっくりと差し入れていった。

「あっ、きもちい……」

2人は抑えきれない喘ぎ声を漏らした。白洛因は巨大なモノが入ってくるのに耐えられなかったからだが、顧海はただ単純に気持ちよくて声を上げた。寒かった部屋は今となっては熱く、久しぶりに味わう快楽を五感全てで感じていた。

例え激しく貪りたくとも、顧海は白洛因に感情処理の時間を与えるために自分の欲望を抑え込んで優しくキスをした。

「痛くないか?」

「ちょっとな……」
白洛因の手が縋るように顧海の腕を掴んだ。

顧海は縋る手の強さで白洛因のことを把握した。ゆっくり押し込んでからそのまま止まり、白洛因が自分の形にゆっくりと馴染むまで待つ。

白洛因は動こうとしたが、腫れたことを思い出して馴染むまで待つことにした。いくら鍛えていたとしても、傷つくことは怖い。

白洛因がゆっくり動くことも、顧海にとっては試験のようなものだった。彼の血は全て下腹部に集まったが、それでも顧海が出来ることは白洛因の苦しさを逃すために頬を撫でることだけだ。

しばらくすると、白洛因の腰の動きが早くなり、動きもスムーズになった。

顧海は待てが出来なくなって白洛因の腰を掴むと、速度を上げて腰を振った。白洛因の喘ぎ声は顧海の腰が動く度に上がる。

「あっ!あぁ、んぁ、ああ!!」

顧海は突然起き上がり、白洛因を仰向けにすると無理やり足を開いた。白洛因の身体は昔と比べ物にならないほど柔らかくなっていて、これも顧海にとっては特別なプレゼントだった。

顧海はそのまま前から挿れると、今回は抑えず、乱暴に出し入れした。遅くしたり速くしたり、奥を突いたり浅い場所を撫でたり。それらの全てから快楽を感じた白洛因は喘ぎ声を絶え間なく上げ続け、それは静かな部屋に音楽を流すようだった。

「やめろっ、っあ、なんか来るっ」

白洛因はある場所を突かれた途端に何かが迫ってくるように感じて、スピードを落とさせるために顧海の腹を必死に押した。しかし顧海はその手を取って指を絡めた上に、スピードを上げた。白洛因の体に電流が走り、つま先は制御出来ずに痙攣したまま、痛みと喜びの悲鳴を上げた。

顧海も白洛因の悲鳴が上がる事にリズムを上げて暴走した。白洛因の体が顧海に与える刺激は想像を超えていた。前に抱いた時には無かった白洛因の強い締め付けと柔らかさは、顧海の感情をコントロール出来なくする悩みの原因にもなり、顧海は完全に狂っていた。

白洛因の頬は赤く染まり、額には汗が玉になっていて、少し目を細めたその顔はまるで毒のように顧海を魅了した。顧海は白洛因の薄い唇にキスをしたくてたまらなくなり、腫れるほどに口を重ねた。

「ベイビー……俺の因子ァ……夫に犯されるのは気持ちいいだろ?」

顧海は白洛因の耳元に息を吹きかけながら、淫らに囁いた。

白洛因のソレは硬く腫れ上がっていて、顧海と自分の腹に擦り付けられていた。顧海が手を伸ばすと、すぐに白洛因が叫んだ。

「っ触るな!」

顧海は聞く耳を持たずに手を伸ばすと、呻き声と共に中が締まった。痙攣した後、顧海の手に液体が零れた。

顧海は動きを止めて、白い液体を指に付けると、そのまま白洛因の口元に持っていったが、白洛因は顔を背けて嫌がった。

「自分のなのに嫌なのか?」

「自分のだから嫌なんだよ。」

顧海は微笑んだまま指を口に入れて、白洛因に見せつけるように舐めると、白洛因はいやらしい姿を見て顔が真っ赤になった。顧海は再び白洛因の口を塞ぐと、無理やりそれを味あわせた。

一度出したというのに白洛因のソレは全く萎えず、顧海はソレで遊ぶと白洛因を横向きにした。白洛因の柔軟性を無駄にせず、片方の脚はベッドに置いたまま、片足を高く上げさせると、後ろから差し入れた。

この角度は白洛因の性感帯を直接刺激するため、白洛因は耐えきれずに喘ぎ声を上げた。顧海は喜んで白洛因の顔を無理やり自分の方へ向かせると、喘ぎ声すらも飲み込むように口を塞いだ。

しばらく優しく動いていた顧海の腰の動きが突然激しくなり、唇が離れた途端、2人の制御出来ない声が喉を突き破り、爆発源の下腹部は無数の神経を煽るので落ち着くことなど出来なかった。

2人は汗をかいて肉体的には疲れていたが、精神的には満足していた。
顧海は白洛因にキスをしてから優しく微笑みかけた。

「気持ちよかったか?」

白洛因は恥ずかしげに微笑んだが、顧海は白洛因が軍に入隊したことを思い出して五臓六腑全てが痛んだ。

「……なぁ、仕事変えないか?」

顧海は苦しそうに白洛因を見てそう言った。

「やっとの思いで今の地位まで辿り着いたんだ。けどまだ目標まで辿り着いてない。それなのにどうやって諦めるんだ?」

「そう言うだろうと思ってたけど……」

顧海は白洛因の意見を尊重することに徹した。

「俺はお前を愛してるんだ。この間みたいな危険な任務は二度としないでくれ。」

「そんなの俺が選んでる訳じゃない。組織が俺を必要とする限り、俺は尽くすよ。」

白洛因は真面目に、そして誇りを持ちながら話し出した。

「それに危険から守ることが俺たちの仕事なのに、国を差しだして逃げろって言うのか?」

これらの言葉は顧海の胸に刺さった。顧海も白洛因を誇りに思っているからこそ、胸が痛い。

崖の端で一日中立っている恋人を見て、誰がそれを我慢できるんだ?

その上顧海にとって白洛因は生命線であるため、白洛因を失えば全ての制御を失ってしまう。

顧海の感情の入り交じった表情を見て、白洛因は声をかけずにはいられなかった。

「安心しろって!俺より長く軍に勤めてる人だって、元気に暮らしてるだろ?」

顧海はこの質問について考えたくなかった。顧海の考えすぎは病的なので、これ以上ややこしくならないためにも話を変えた。

「あと2日で軍に残るのか?」

「今日を含めたら3日だな。」

白洛因が頷いてそう言うと、顧海はため息をついた。
「お互い忙しいし、残りの日が過ぎたら会えるのはいつになんだか……」

白洛因は焦って顧海を揺すった。

「でも!でもお前は軍に自由に出入りできるだろ?お前の仕事を終わるのを待ってるから!……緊急任務が無ければだけど……」

顧海は意図的に白洛因をからかった。

「時々残業だってあるし、1時間以上かかるから往復だと2時間だろ?朝だって早いし、ゆっくり寝たいんだ。しかも、お前のところに行くのは良くても、兵士に見せつけるのはちょっとなぁ……」

白洛因の表情は暗く沈み、声も同じように暗くなった。

「……もういい。来るな。」

白洛因が少しのことでへそを曲げるのも顧海にとって大きな楽しみのひとつだった。無意識に前かがみになり、白洛因の肩に手を置くと、案の定振り払われる。

顧海はそれに慣れたように笑って見せた。

「からかってるだけだよ。俺に会いたくないのか?」

白洛因はまだ落ち着いていなかったのですぐに反論した。
「俺の体目的だろ。」

「じゃあ俺が行ったら泊めてくれるか?」

「ダメだ。」

「本当に?」

顧海の黒い目が光った。

「じゃあ今のうちに味わっとかないとな。」

そう言うと体をひっくり返して白洛因の尻に顔を埋めて噛み付いた。白洛因は暴れ回ったが、顧海が白洛因の敏感な腰に触れるとそのまま尻の隅々まで噛みつき、噛み跡はまるで絵のようだった。

白洛因も最初のうちは罵っていたが、口を開くのをやめた。顧海は舌を伸ばして閉じてしまったソコを舌でつつくと、白洛因の様子が変わった。

「やめろっ……あっ顧海……やめろって……」

顧海は白洛因の抵抗を無視して腰を持ち上げると、そのまま自分のモノを中に挿れた。



2人はその後数え切れないほど体を重ね、顧海はもう無理だとベッドで横になり目を瞑った。途端、強い力で揺すられた。目を開けると、まだ体力の有り余る白洛因が隣に座っている。

「次は俺の番だろ?」

白洛因は催促したが、顧海は驚いた顔で見つめるだけだった。

「おまっ……お前まだ体力余ってんのか?」

前までなら白洛因の方が先に根を上げて、眠っていたのに。

「当たり前だろ!」

白洛因は力いっぱい顧海の上に跨った。

「早く起きろよ。1回だけだから!な!?」

顧海は片目だけを開いて弱ったふりをした。

「もう無理だよぉ。ちょっと休ませてくれよぉ……」

白洛因は嘆いて、音を上げて顧海の尻を叩いた。

「疲れたふりすんなよ!起きて!おーきーろ!」



夜明けまで続いていた叫び声も止み、やっと家が静かになった。

顧海がトイレから戻ると、ベッドに入った。すると白洛因が擦り寄ってきた。手足は暖かいというのに、それでも顧海の温もりを求めた。

顧海は白洛因の頬を撫でながら優しく見つめた。26でも18でも、ベッドで寝ている姿は子供のままだった。

一生白洛因のそばではないと生きていけないと、顧海は確信していた。