2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

第10話 婚約者との家

白洛因は鼻を鳴らした。 「あんな美味い餃子食べたことねぇよ。」顧海の深く下げられた目元は、近くの手元を見つめている。表情は動揺する事無く、いつも眺めていた顔がより大人びている。変わってしまったのは口元だけで、八年前は自慢げに弧を描いていた口…

第9話 顧海の勝利

翌日、刘冲は昨夜あった人物が、資料の中で興味を持っていた人物だったと知った。「え?あの人が顧海なんですか?厳しい道を自ら選び、若くして社長になったあの?」白洛因は微笑んだ。 「あぁ、長官の息子だよ。」刘冲は驚いた。 「顧威霆の?本当ですか!…

第8話 寮へ

白洛因の暗い目は、顧海の心を抉るアイスナイフの様だった。「俺をここに呼んでおいて、最後に言うのはそれか?」顧海は微笑みながら白洛因を見た。 「俺のことは誰よりも理解してるだろ?」「お前、玉ねぎみたいだな。」顧海は目を細めた。 「どうして?」…

第7話 協力を求める

刘冲は厚い資料の束を持って研究室に入り、白洛因と数人のエンジニアが、1枚の図面を前に討論している姿を見た。声をかけるのも申し訳なく感じて、白洛因の傍に立って待っていた。目の前にはパンが1枚、冷たいお茶が1杯あり、茶葉は水に浮いていた。まるでそ…

第6話 奇妙な世界

「俺が畜生だって?だったらお前はなんだ?家畜か?」 顧洋の氷のように冷たい視線が顧海を刺した。 「俺は悪いことをしたが、そしたらお前はいいことをしたのか?俺はお前の兄を傷つけたが、お前は自分の父親を傷つけただろ!お前が入院してた時、誰が一日…

第5話 激突する2人

顧海は白洛因が軍服を着て自分の隣に経つ姿を見た。顧海の心の中に8年間隠されていたものが解放され、全ての神経と内蔵を貪られているようだった。白洛因は顧海のその視線で火傷し、顔の半分は麻痺していた。自分が軍服を何故着ているのか、冗談だと、嘘だと…

第4話 止められない運命

夜、白洛因が寝ようとしていた時に、上官からの電話がかかってきた。「小白!明日、軍事訓練参加メンバーで打ち上げを行う。お前も絶対来いよ!」白洛因は黙っていたが、しばらくして尋ねた。 「どこでやるんですか?」国際会議展示場5階の宴会場を予約した…

第3話 8年ぶりの再会

杨猛と白洛因が会話を弾ませていると、杨猛に向かって1 人の警察官が近づいてきて、資料の束を投げつけてきた。 「来週の報告書だ。できるだけ早く支局に送れ。」杨猛は怒りながらその資料を拾うと、ため息をついた。 「こんなの書かずに1日中因子と話してや…

第2話 可愛い警官

夜になると、軍事訓練に参加していたバイロットで野外キャンプが行われた。白洛因はテントで1人寝ている。外では轟く冷たい風が吹いているというのに、白洛因のカシミヤのセーターは汗で濡れていた。脱ぐと服に雑草や棘が刺さっており、振り払ったが取れず、…

第1話 破壊的な人生

8年は、一瞬だった。8年後、英語が全く話せなかった顧海は外国人のようになっていた。顧海が海外へ行った時、偶然出会った李烁はカナダへ移住していた。海外での生活について話していると、李烁はため息をついた。「中国にいた頃が懐かしいですよ。お正月に…