2020-01-01から1年間の記事一覧

第171話 通話

その日、顧洋は疲れきった体を家に引きずり、重い服をハンガーに掛け、ネクタイを外し、お風呂に向かった。 部屋を通った時、部屋を見ると顧海はおらず、中に入ってみると、顧海の仕事は既に終わっていたため、恐らく寝室で寝ているのだろう。 顧洋はお風呂…

第170話 夜を駆ける

「因子?因子?」 尤其が白洛因を何度か呼んでも白洛因は反応しなかった。尤其はトイレに行く前に白洛因に声をかけてから行こうとしていたが、もう眠ってしまっていた。 白洛因を送っていくべきか? それとも白洛因の父さんを呼んで、近くまで迎えに来てもら…

第169話 拉致してはいけない

飛行機で十二時間苦しめられたあと、顧海はサンフランシスコに到着した。 空港には顧洋の運転手が待っており、彼は顧海の荷物を受け取ると、顧海を車に乗せた。運転中、顧海は彼に尋ねずには居られなかった。 「兄さんはどこだ?」 「彼はやらねばならない事…

第168話 戻ってくる

高三の一学期、大学入試のためにクラスの何人かが転校したり、留学をした。話の話題は大学入試のことばかりだった。 白洛因は数日前に全国高校物理学試験に参加し、明日は生物学試験に参加する。これらの試験でいい順位に入れれば、大学入試が有利になる。白…

第167話 大砲の投下

二人を追い払ったあと、白洛因はトップを走る選手と戦い始めた。 元々白洛因の方がレベルがたかかったが、二人を追い払うのに体力を使ってしまったため、追いかけるのに苦労した。トップランカーは白洛因か近づいていく度、意図的に妨害したり、リズムを崩し…

第166話 杨猛の足

白洛因の厳格な監督の下、顧海は自ら彼女のアカウントをブロックし、彼女の電話番号を消去し、プライベートで彼女の部屋に出入りせず、暇であっても彼女と連絡を取り合わないことを約束した。 翌朝、白洛因の5000mのレースが始まろうとしていた。白洛因の登…

第165話 家庭内暴力

開会式後、試合開始の合図の銃声が鳴り響いた。 最初の競技は100m競走で、顧海は三グループ目だった。開会式後に白洛因がクラスメートと喋っているのを顧海は見ていた。白洛因は顧海の写真を撮るためにカメラを構えていて、振り返るとスポーツウェアに身を包…

第164話 大会準備

「おい、なにしてるんだ?」 尤其はしゃがみこんで杨猛を見た。 杨猛は涙を適当に手で拭い、ぎゅっと身を守るように体育座りをした。尤其に背を向けて「今日は気分が悪いから、僕にちょっかいかけないで」と言った。 尤其は杨猛の背中を膝で押して、少し挑発…

第163話 仲の悪い相棒

「はっはっはっは……」 憂鬱で恐ろしい笑い声が、憂鬱な書斎の部屋の前で響いていた。笑っている本人は悪くて、厳しい表情をしているのに、どこが悲しげな狂気も抱えていた。 「5000mと400mハードルはお前みたいなのじゃ無理だ。」そう言うとまた息を飲むよう…

第162話 独身の日

「お前のことは信じてるよ、けどお前は自分の罪に対しての対価を払わないとな。」 顧海は持ち上げていた白洛因の腕を元に戻した。 白洛因は顧海がずっと怒りを終えていたのを知っていたし、一度それが表に出てしまえば暴力に頼る他なく、そして白洛因は苦し…

第161話 ごめんなさい

「顧海!ほら、早く帰ろう。」 顧海は白洛因を待たずに先に車に乗って行ってしまった。因子は急いで後を追ったものの、顧海の車はもう見えなくなっていた。赤信号で前の車が停り、進むことが出来ない。白洛因は車の窓に肘をついて前に並ぶ長い車の列を探した…