2020-01-01から1年間の記事一覧
大晦日、軍事基地は静寂に覆われていて、正月の雰囲気が全く感じられない。姜圆はため息をついた。 「去年の旧正月には息子もいたけど、今年は2人きりで過ごすのね。本当に悲しいわ。」顧威霆は姜圆を見て、穏やかに言った。 「今年は1人にしたほうがいいか…
1分後、顧海が戻って来るのを、白洛因は酔っ払いの目付きで見守っていたが、手に持っているものを見た瞬間に驚いた。彼は顧海が明らかな見た目をしたおもちゃか媚薬とかを持ってくるだろうと思っていたが、その手にはぶら下がってあるのは2つの衣装だ。スケ…
「えっ、なんであっちから来たんだ?」 白洛因は驚いた顔で顧海を見た。顧海は唇が紫になるほど心配していたが、白洛因の手に持っているサンザシ飴の束と、口元に残る飴を見た。 ー怒られるとは思ってないのか?顧海は怒鳴った。 「どこに行ってたんだ?」白…
白洛因が去ってから、白漢旗は必死に来ないようにと熱望していたが、ついに顧威霆が来てしまった。顧威霆が白家の小さな中庭に足を踏み入れると、邹叔母さんと白漢旗はキッチンで忙しそうにしており、煙突から白い煙が立ち上るのほど、中には全体に肉のにお…
その日、顧海と白洛因は電話番号を変え、白漢旗も息子と話すためにカードを変えた。2人は1週間、特別な事情がない限り外出しないよう慎重に行動し、1週間経つと顧洋に会うことに決めた。3人は隠れた店で会い、食べながら話した。「髪切れよ。」顧洋がそう言…
顧海はもう追っ手が辿り着けない所まで運転し、美女は後ろで静かに座っている。顧海はもう安全だと確信し、来た道に沿って戻ろうとした。「前の信号で引き返すのよ。」美女は突然口を開き、顧海は後ろに座っている存在に気づいて感謝した。「俺は追われてい…
2人が青島に来てから、あっという間に2週間経っていた。泊まっていたホテルもやめ、部屋を借りるようになった。節約できるし、頻繁に外に出ることも避けられる。昼間は猫が部屋にいながら宿題を見て、夜はビーチで散歩する。そんな楽しい日々を送っていた。…
午後、顧威霆の車が停まると、局長は急いで会いに行った。「顧長官!どうして事前に教えて下さらなかったのですか?言ってくだされば迎えを寄越しましたよ!」顧威霆は無表情で歩き、局長は部下に顧威霆にお茶を出すように伝えたが、顧威霆は手を振って拒否…
「俺を見てろ。」顧海は立ち上がって、海に向かって叫んだ。 「顧海、男、18歳、北京から来た。隣に座っているのは俺の妻で、去年の今日の2日前に恋に落ちて、1年目の日に旅を始めた!どんな困難が待ち受けても、勇気を持って前に進むぞ!」白洛因は砂に埋め…
車を進めている途中、白洛因は顧海に電話で尋ねた。 「西に進んだら海が見えるか?」「そうだな。このまま運転すれば西ヨーロッパに着くから、海が見えるだろうな。」白洛因はしばらく黙っていたが、静かに言った。 「海のある街に行くのはどうだ?」顧海は…
トンネルに住んだ初めの日、顧洋は顧威霆が自ら自分を探すことを祈っていたが、2人が逃げられるように、顧海のために時間を稼いでいた。翌日になると、顧洋はこんな人が住むために作られていない場所に耐えられなくなった。寒いのが一番耐え難い。鍵は湿度だ…
白洛因はそんなことは聞かずに話を続けた。「あいつの死ぬ前の顔は青く、古い樹木の様に唇は乾き、喉が渇いたと言って指を噛んで血を飲んでた。……兄さん、腹が空いたよ。腹の中は土から掘った根と虫でいっぱいなんだ。……兄さん、寒いよ。つま先は割れて、血…
昨日顧威霆に酷く殴られても、白洛因は涙を流さなかったのに、白漢旗の言葉を聞いた途端、突然喉が詰まってしまった。「父さん、俺はこの関係で父さんの心を壊したのに、なんでそんなことが言えるんだ。顧海が苦しんでるのを知ってるか?あいつの父さんはあ…
「長官、もう3日経ちましたよ。」顧威霆はその言葉の今を知りながら聞いた。 「なにから3日だ?」孫警備兵は口にニキビができるほど、この2日間とても心配していたが、顧威霆はより穏やかになり、より恐ろしくなっていた。彼は顧威霆にとって、顧海がここで…
たっぷり笑った後、白漢旗は3人が冷たい顔をしながら口角を上げて自分を見ていることに気づいた。邹叔母さんも白漢旗と一緒に笑っていたかったが、二人の顔を見た瞬間、口角を下げた。やっと姜圆が反応して、白漢旗の頭を叩き、顔を覆い隠した。「白漢旗、頭…
安心してから2週間後、この日、軍にて保安検査が行われた。その結果、顧威霆と孫警備兵の部屋に問題が出た。監察部は明記せず、状況を確認するために2人のモニターを送った。「なんだ?」 孫警備兵は驚きの表情をした。 「私の部屋になにか問題がありました…
顧海と白洛因は一度家に帰って荷造りをすると、白漢旗の家へ向かった。夕方になり白漢旗がちょうど仕事から帰ってきた所で、邹叔母さんはキッチンで料理をしていて、孟通は庭で遊んでいて、その雰囲気は幸せな家族だった。二人は黙ってドアに立ち寄った。白…
顧威霆が寝ようとした時、顧海は既に眠っていた。部屋の灯りを消そうと、顧威霆の手がスイッチに触れたが、押せなかった。顧威霆は突然顧海の事をちゃんと見たくなって、寝ている顧海の近くへ寄った。幼い頃から今まで息子のことをこんなにも注意深く見たこ…
顧海はバスルームに向かい、シャワーを浴びて泥を洗い流していると、白洛因はベッドに横になっていた。……今日はちゃんと分かってる! 顧海は口角をあげて笑った。毛布を取って、ベッドに横になっている白洛因を見ると、その体はまるで無機質のようだった。顧…
精神科医が去った後、顧海は二人の特殊部隊員に小さな講堂へ連れられて、一人で劇を見せられていた。その内容はAVの様なもので、男性がコスプレをした沢山の巨乳で尻の大きい女性を、皇室を選択する皇太子のような劇だった。顧海はなんとも思わず見ることが…
殴られたあと、顧海は腫れた口で朝食を食べ、顧威霆は対面に座りその姿を見ていた。「一生見続けるつもりか?」顧威霆は冷静に返した。 「お前が生きている間ずっと眺め続けるつもりは無いが、私が生きているうちに、お前の自由はないと思え。」顧海は食べる…
「愛?」 顧威霆は凝視した。 「ここに恥も知らずに愛について語る二人の男がいるのか?」言った後に顧海に向かって真っ直ぐと歩き、その襟を掴んで、ドアに投げつけようとした。顧海は咄嗟に対応して、足を安定させたので、顧威霆は顧海に怒りをぶつけるこ…
エレベーターが開いても、顧海は動かなかったが、しばらくして静かに歩き出した。 白洛因は玄関の前にしゃがみこんで、周りにはタバコの吸殻が沢山あった。エレベーターが開く音がすると、瞼を上げて、また下げた。手にはまだ吸いかけのタバコがあり一口吸う…
ドアは警告無しに開かれた。 顧洋はノックをしていたが、誰もそれに気づかなかったのだ。 廊下を通ると、奥から怒鳴り合う声が聞こえて、中に入ってみると、部屋は無法地帯のようだった。2人の男が絨毯を引き裂き、一人は顔を真っ赤にし、もう一人は喘いでい…
午前中、ある人はトイレに入り、周りをきょろきょろしながら、自分のモノが取られるんじゃないかと震えた。結局、正午になってもなんの報復も受けることはなかった。 本当に違ったのか? 尤其は片付けをしながら顧海をちらっと見た。尤其が立ち上がり、ドア…
早朝、顧海は着信音で目が覚めた。 習慣的にスマホを探したが、見つからない。座ってもう一度探して犯人を見つけてボタンを押しても、問題が表示されるだけで音は消えなかった。白洛因の目覚まし時計のシステムはとても難しく、それは白洛因が打ち込んだもの…
二人は浴槽で足を絡ませながら、まるで何年も会えていなかったように、お互いの表情を何も見逃さないようにじっと見つめていた。 久しぶりに、白洛因が口を開いた。 「お前、痩せたか?」 「そうか?」 顧海は白洛因の腹を撫でながら言った。 「お前に会えな…
放課後後、白洛因は尤其と歩いていた。 顧海は出国してから、白洛因と尤其の親密さは上がり、杨猛に対しての共通の話題をよく話していた。今日の議題は「最も仲のいい友達が、彼氏を連れてきたら」だった。 今日、尤其は珍しく「顧海はいつ帰ってくるんだ?…
「尤其、彼にご飯が出来たと伝えて」 白洛因は手を洗いながら尤其に尋ねた。 「お父さんは?」 「あぁ、父さんは今出張中なんだ。」 白洛因が手を拭くと、尤其は出て行った。 尤其のお母さんは明らかに三人分以上の量の料理をテーブルに並べていたが、そのど…
顧海が薬を自分で使ったのはこれが初めてだった為、過剰摂取させてしまい、顧洋が起きたのは翌日の朝十時だった。顧海は夜明けまで話を続け、顧洋は数千ドルの通話料を請求した。 顧海はこの通話でエネルギーを補給したので、一睡もせずシャワーを浴びた。新…